2006年7月 9日
ビーイング・デジタル―ビットの時代
記念すべき書評の最初を飾るのは、最近$100PCなんかで話題のニコラス・ネグロポンテ氏が1995年に書いた、ビーイング・デジタルである。
これからのコンピュータテクノロジーの進化の方向性や、最新の技術(当時)、などが、書かれてるのだが、現在読んでも殆ど陳腐化していないところが驚かされる。例えば、1995年当時から、xDSLについて言及してあるところなどだ。
また、コンピュータの進化の目標は、「人間になること」である、とはっきり書かれている。はっきり言って、この本を読むまでは、同じ意見を聞いても、眉唾な意見にしか思えなかったが、この本を読むと、一理あるなと頷かされる。
結局、人間は、単純なわずらわしい作業を代行してくれる秘書的な存在が欲しいのであり、それをコンピュータに求めているというわけだ。
また、それにからめてだが、音声認識や、文字認識などは一般的に汎用性が求められることが多いが、それが間違いだとも言っている。例えば、誰の音声でも認識できるようにするよりかは、特定の個人の声が確実に聞き取れるようになったほうが有益だというのだ。そういった、個人用にカスタマイズされたコンピュータを各人が持てばよいという考えで、これは非常に目から鱗が落ちた。技術者ってのはつい汎用的なものを作りたがってしまうからね。
書かれている文章も平易だし、専門用語も少ないので、一般の人でも読めるし、読んだほうが良い名著だと思う。