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2006年9月21日

まほろ駅前多田便利軒

やられたと思った。町田はそれだけで小説の題材になりうる稀有な街だが、その街を題材をこの小説は上手く描いている。この小説の舞台となるまほろ市は町田をモデルにしたというよりかは、明らかに町田そのものである。その町田を的確に描写し、小説の舞台に仕上げた筆致はすごい。町田が大好きな私がアラを見つけられず、町田がきちんと書けているというのだから間違いない。

直木賞受賞作なんですね。私は恥ずかしながら、三浦しをんという作者も知らなかったよ。町田在住だというのに。

便利屋の主人公が一つ一つ依頼をこなしながらストーリーが展開していくさまは、連載マンガのようでライトノベルっぽいノリだ。登場人物もすこし非現実的に誇張されたしっかりしたキャラ設定を持っており、その辺りもマンガちっくだ。その分わかりやすく、けっして人物のパーソナリティーが薄っぺらくもないので感情移入もしやすい。読みやすいので、頭を休めるのにも最適でした。

ものすごい名作というわけではないが、楽しめる作品になっている。特に町田を知っている人にとっては。文学としてみるにはもうちょっと踏み込んだ描写が欲しかった。いろいろダークな部分を垣間見せるものの書ききれていないように思う。

私は町田の隣の相模原市に住んでいるが、これまた変な都市だ。人口が60万を超えているにもかかわらず、全国的な知名度は散々で、大都市としての威厳を全く持たない妙な都市なのである。ここも小説の題材になりそうな気がしている。

投稿者 Songmu : 2006年9月21日 23:28