2009年1月16日
サムライチェスの何たるかを教えてやる!~変則ルールの悲哀
ご存知じゃないとおり、私は中高時代とチェス部でした。一応競技チェスのプレイヤーだったのです。
iPhoneアプリで「サムライチェス」が出ると聞いたときは驚きました。サムライチェスとは、中高時代に良く遊んだ変則チェスの名称だったからです。多分、日本の若手で競技チェスやる人間なら殆ど知ってるんじゃないかな。それをiPhoneアプリで出すとはなかなか通もいるもんだと思ったよ。
しかし、実物を見てみると何のことは無い、普通のチェスのルールでサムライが出てくるだけだと言う代物です。お前らサムライチェスをバカにすんな。お飾りでサムライが出てくるだけでサムライチェスとか言うんじゃねー!!! ガッカリだよ!!!
サムライチェス(通称:サムチェ)ってのはな「駒を取ったら取った側の駒も死ぬ」という侍魂溢れるルールの変則チェスなのです。
となるとキングで駒を取る事ができません。そして、ポーンがやたら幅をきかせることになります。一度局面が動き出すと盤面からどんどん駒が減っていく爽快感のあるルールです。
チェス部だと一日中チェスを指している真面目な人もいるわけですが、当然だんだん飽きてくるので変則チェスに興じたり、新たに変則チェスを編み出したりするわけです。時間が遅くなってくると、部室で「サムチェやろーぜ」とか誰かがそんなことを言い出す、そんな流れでした。中には変則チェス専門の部員(!?)もいたりしました。
てことで、サムライチェスのほかに、よく遊んだ変則チェスを2種類ご紹介
取りチェス(通称:取りチェ)
「取れる駒があると絶対取らなくてはいけない」というルール。クイーンやキングを上手くおびき出して仕留めるのが基本戦略になります。意外な盤面が詰みだったりするのが愉快。これも一度局面が動き出すとあっと言う間に終わる。手が限定される分、先まで読みやすいので、すごく真面目に解析した部員がいた。
サムライチェスと組み合わせて「サムライ取りチェ」とかそんなルールも出来るんだけど、そうなるとバカゲー以外の何ものでもなくなってしまうので、たまにネタとしてやるくらいに留まってました。
ダブルチェス(通称:ダブチェ)
ちょっと複雑。チェス盤を2面使ったダブルスです。4人でやります。
盤は白側黒側互い違いに並べます。隣の人と組んで戦います。そして、このルールの画期的なところは「パートナーが取った駒を使うことが出来る」というところです。
ご存知のとおり、チェスは将棋と違い、取った駒を張ることが出来ません。何せ、白黒分かれてますからね。しかしこのルールだと、パートナーが自分と同じ色の駒を取ってきてくれるので、その駒を使うことが出来るのです。
ただ、このルールは「ナイト来たら勝ちだから取ってきてくれ」とか言って、パートナーがその駒を取ってきてくれるまで指さないとか、負けそうになったらもう一つの盤面に任せて指すのを放棄したりとか、そんな事が起こりがやすく戦局が硬直しがちです。
なので、チェスクロック必須のルールなのですが、結局両方の盤面がお見合い状態になって、時間切れで幕を閉じると言う寒い結末を迎える事が往々にして多いです。
他にも変則チェスって数多くあると思うんだけど、考えてみるとネット対戦だと通常ルールでしか対戦できない訳だ。チェス文化の硬直化が進み、変則チェスにとっては危機的状況なのかもしれない。
チェスに限らずあらゆるゲームにはメジャーな変則ルールってのが存在すると思うけど、ネット対戦が成熟すると、逆に知らず知らずのうちに変則ルールが消えていってしまうことはあるのかもしれないな、とか思った。
がんばってサムライチェスのネット対戦でも作ろうかな(笑) そしたら商標とかで訴えられたりして(笑)
しかしサムライチェスでもダブルチェスでもググっても全然この変則ルールがヒットしない。だから紹介したんだけど。本当に日本のチェス界では有名なんだって! ...多分。