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2006年11月21日

スーパーエッシャー展

なんかメディアでも結構取り上げられているみたいですね。そのせいか平日の昼間だと言うのに、意外にもかなり混んでいた。チケット買うのに並んだし、展示会場内も混んでいた。休日に行かなくて正解だった。

音声ガイドとかで、DS Liteを貸し出していたので借りた。一緒に行った女友達は「DS Lite触るの初めてだよ!」とか言って興奮していた。私はDS自体を触るのが初めて。

展示は、第1章から5章までに分かれていて、展示最初のほうと最後のほうで、入場者のテンションが全然違うのが面白かった。ともすれば退屈な前半部分に比べると、後半は一般の人にとっても非常にわかりやすく面白かったので。前半も後半も静かではあったのだが、感じ取れる入場者の興奮具合は全然違った。

実際、展示の第1章、2章は初期の作品とかで、ごくごく普通の版画ばかりでやや退屈な内容でした。殆どの人にとって、まさしく「美術鑑賞」のような、畏まって静かにしていながら、実は内容を理解できておらず退屈を感じている、そんな印象を受けた。その中でも非常に緻密な構図とか、描く線の方向を絞った描写の仕方などは感心したが。風景を描くのに、自分で縦横に方眼紙のように細かくあたりを打ちまくって描いていた絵があったのが印象的。

ただ、全部の展示を見終わってから分かるのは、そういう緻密な表現力や技術力がエッシャーの根底にあるのだということを知る上で、この第1章、2章は必要だったということです。

第3章の平面の正則分割辺りから、エッシャーのエッシャーたる作品が並んできます。ひとつ、あるいは2、3つの同じ形の絵柄にて平面を無限に分割するエッシャー独特の作品群。初期の作品は直線が多く、図形的な絵柄を並べたパターンが多かったのだが、だんだんと曲線が使用され図形っぽさがなくなった絵柄のパターンで正則分割を行っていくようになり、どんどん洗練されていっていたのが目を引いた。

この正則分割について書かれたエッシャーノートを見ると、作品のアプローチが非常に数学的です。いかにして正則分割を実現するかという理論が、方眼紙内に緻密に書かれた資料とともに記されています。このノートを見てもエッシャーが数学者的な頭脳を持っていたということが分かります。自然の秩序を表現したいという考え方も芸術家と言うより、非常に数学者的です。

第4章のだまし絵の章は、エッシャーの本領発揮の章でした。単純にぱっとこれらのだまし絵を見せられると、「不思議だね、面白いね」だけで終わってしまいかねないのですが、これまでの章を見ていると、これらの作品が緻密な表現力と、数学的頭脳が合わさってこその作品なのだということがわかります。

ここにくると、もはや平面の正則分割で見せていたような2次元平面にとどまらず、(数学的に)複数の次元にわたるスケールの作品が多く見られます。複数の次元に渡ってモノを見ることが出来る人だったんだなと感心させられた。だまし絵などといわれていますが、彼にはあの世界が実際に見えているのでしょう。4次元、5次元が想像できる数学者のように。

第5章は、資料などでしたがエッシャーの制作映像の展示もやっていて、こいつが非常に良かった。いやーエッシャースゲカッコいいです。70代の頃の映像だったみたいなのだが、細身でしゃんとしていてハンサムなじいさんでした。制作過程も動作によどみが無くテキパキしていて惚れたね。友人も「ツボだ!」とか言っていた。

見終わった後、つい目録を衝動買いしてしまった。2500円なら安いものだ。

個人的には「昼と夜」「三つの世界」「描く手」を見られただけでも満足だったのだが、それだけではなく非常に楽しめた。1~5章の構成も良く出来ていて、一般の人にとってもわかりやすく楽しめる展示なのではないかと思う。普通にあれだけのだまし絵を見るだけでも楽しいでしょうから。ただ、たぶん休日に行くと恐ろしいくらい混んでるんじゃないかと思うので要注意。

投稿者 Songmu : 2006年11月21日 23:42