おそらくはそれさえも平凡な日々

退職

12月末でLaunchableを退職します。実際には11月30日が業務最終日で12月は求職活動をしていました。幸い12月中に転職先を決めることができ、1月から次の会社で働きます。次の会社は年明けにお知らせします。

求職活動中は多くの方や会社から連絡をいただき本当にありがたかったです。全てにお返事をすることができず申し訳ありませんが、直接お知らせできなかった方にはこちらでお知らせとなることをご了承ください。

以上でお知らせは終わりで、以降は単なる中年男性のしょうもない独白です。


退職は非常に残念で、Launchableでまだまだやりたいことはあり、これからというところでもあったのですが、言ってしまえば西海岸外資の洗礼を受けたということです。

今回の僕の挑戦はあっけなく終りを迎え、ほろ苦い体験となりました。とはいえ間違いなく良い経験にはなりました。Launchableの事業は引き続き応援していきます。ありがたいことにSOもいくらか付与されているので、折角なので行使できる分はするつもりです。未上場外国株式を持てる機会もなかなか無いですし。

今回の退職は僕の能力不足起因ではないと会社からは伝えてもらったし、よくある決り文句ではなく実際にそう思ってくれているのも分かったのですが、僕としてはやっぱり実力不足だったなと受け止めています。

錯覚資産に自分が錯覚させられていた話

僕はアウトプットが多い分、実力に対して過大評価されているとは常々思っています。必要以上に自分を大きく見せたくない自分としては居心地の悪さを感じつつも、過度にへりくだることは自分を評価してくれる人を貶める態度なので、その評価に見合うように頑張ろうと思ってやってきました。

それに評価していただくと思わぬ面白い機会をいただくことも増え、その機会に乗って結果を出すことが自分の成長につながるのも感じていました。過大評価に自分の実力を合わせていくということで、それもまた自分の持ち味だとも捉えていました。「過大評価よりも過小評価されることを恐れたほうが良い」といったことをkazuhoさんが以前どこかでおっしゃっていたように記憶していますが、自分を大きく見せたくない人間に取って、それは余計留意すべきポイントだとも思っています。

そういった自分のスタイルを受け止めつつも、周りからの評価に対して詐欺師的なジレンマを感じたり、「有名エンジニアは実は仕事ができない」みたいな言説が定期的にSNSで話題になるたびに心にチクリと痛みを感じることもありました。

とはいえ、やはり、あまりにもうまく行き過ぎていた。特に30歳以降、キャリアを望めば望む方向に進める感じがありました。それは、偶然歯車が噛み合ってうまく動き出した。つまり運が良かったからだ、とは思っていたはずです。しかし、努力は必ず報われる、はずがない、という当たり前のことがもしかしたら自分には当てはまらないのではないかと傲慢になっていたのかも知れません。過大評価が自分の実力だと勘違いしてしまうことが怖いと思っていたのですが、結局勘違いしていたのではないか。

努力をしていたつもりでもその土俵で戦えなくなることはあるし思い通りにならないからこそ人生は面白いのでした。今回の挫折は良い薬になり、自我の肥大にブレーキをかけるきっかけにもなりました。

20代の頃は苦労したし、その経験もあって、自分のような頭が良いだけで社会性のない人間がいつ転落するかわからない。そのように思っていました。しかし、近年はその感覚が薄れていたし、転落のような劇的な変化が自分に起こりうると思ってしまう事自体、中二病的な恥ずかしい感覚なのかもしれない、とも思うようにもなっていました。しかし、改めて自分はどうなるかわからないし、程よい危機感を持って生きる必要があると思い直しました。

しかし、ここまで書いて読み返してみると、だいぶ気持ち悪い文章ですね…。退職が決まった12月頭に書いたらもっとひどい文になっただろうと思い、すぐには書き出さず、少し落ち着いた今なら大丈夫だろうと思って書き出したらこの有様です。

今回の求職活動

それくらいショックを受けていたのですが、12月に求職活動を始めながら何人か知人に相談にのってもらい、そして、ありがたいことに色々な会社から声をかけてもいただきました。皆様その節は本当にありがとうございました。その中で、何社か選考に進み、12月にオファーを出してくださった会社の中から次の会社を決めました。

当初は焦って決めたくないし、1月は休みたいとも思っていて、2月から働く想定でした。その勤務開始時期も応募した会社にはそれぞれ伝えていたにもかかわらず、12月で決めてしまい、他社の選考を中断したのは申し訳なかったです。

次の会社が、拙速な判断にならないように何度も面接のステップを踏まえつつ、意思決定早く選考からオファーまで進めてくださったので、こちらも早くお返事したくなったのと、他社も含めた求職活動の中で元気が出てきたので1月から働く気になったというところです。

妻からも「求職活動を引き伸ばして選択肢を増やしても迷いが増えるだけだし、他の会社に選考コストを無駄に払わさせることにもなるから、そこが良いと思ったのならさっさと決めても良いんじゃないの?」のようなことを言われ、僕も最後は直感で決めるのが良いと思っているのでさっさと決めてしまって動くことにしました。

採用ツールやフロー

ちなみに、求職活動をしていることをTwitterでは告知しませんでした。連絡が多くなりすぎて捌けなくなるだろうと思ったからです。なので、広報範囲を絞る意味で、まずは登録した後あまり活用していなかったYOUTRUSTで転職ステータスを変更し、メッセージも投稿しました。それで集まらなかったら、facebookやLinkedInでも告知するつもりでしたが、YOUTRUSTだけで返事しきれないほどの連絡をいただきました。ステータス変更だけで多くのメッセージがすぐさま届きました。各社の人事仕事してるし、エンジニア採用事情が大変なのだな、と感じました。

Twitterやfacebookでのコネクションは維持したいと思いつつも、もはや誰とつながっているかわからないのでキャリアSNSという切り口でソーシャルグラフが再構築されている点、条件面含めた希望面もある程度具体的に書いても角が立たない雰囲気がある点など、YOUTRUSTは有用でした。

そういえば同時期に転職活動をしている人がTwitterサークル機能を使って転職を告知していて、なるほどそうやって広報先を絞る方法があったか、と膝を打ちました。

それと、10年近くぶりに日本のエンジニアの通常の採用選考を受けましたが、選考フローは以前と比べてどこも格段に洗練されていました。エンジニア採用が難しくなっていることも影響しているのでしょう。

事前準備が必要な技術課題が課されるケースも多くありました。ただ、そうすると選考のリードタイムが伸びてしまう悩ましさもあると感じました。しかし、採用は失敗するとダメージが大きいので、ちゃんと見極めるためには大事なステップですし、有名人だからといって変に特別扱いせずフェアにやるべきだし、むしろ技術的にマッチしない有名人を雇ってしまうとダメージがもっと大きくなりますし、ジレンマですね…。

なんにせよ、数年前まではエンジニア採用に積極的に関わっていて採用活動は嫌いではないし、次の会社でも採用に関わることもありそうなので、良い会社の選考を受けられたことは今後の参考になるありがたい体験となりました。

ミドルエイジクライシス

それに、選考を受け、その中で自分の考えや過去のエピソードなどを話せたのは、自分の思考を整理して自分を見つめ直す良い機会にもなりました。ミドルエイジクライシスとか言い出すの嫌だなーと思ってたのですが、今後のキャリアも人生も長いし、変化の早い時代の中で定期的に自分を振り返るのは必須だなと思うようになりました。

僕はわがままで自分の欲望を大事にしたいし、つらいと感じたら何かが間違っていて、その苦しさに陶酔してはいけないと考えています。などと言いながらそれなりに苦悩しながら生きている現実もあります。

以前、yamazさんに「松木くんは悩める人だから」と言われたことがあり、それから「これは自分のパーソナリティで、ずっと付き合っていくものなのだな」と肯定的に受け入れられるようになったことがありました。その後補足で「それはむしろ才能なんじゃないか」的なことも言われ、自分の持ち味なのだとも思うようにもなりました。

一流と超一流の間

ということで、僕のことを結構すごいエンジニアだと思ってくださっている方も多いでしょうし、僕自身もそんなに悪くないエンジニアだとは自己認識するようにしていますが、他の多くの皆様同様に悩みを抱えていたりするわけです。人生を楽しみたいと思い、もちろんかなり楽しみつつも、何故か苦しんでもいる。人生そんなもんです。虚勢を張って自分を良く見せすぎても余計自分を苦しめるだけなのです。

僕は自分を一流エンジニアだと思うようにしていますが、超一流では決してありません。そこには自分の中で明確な線引きがあり、それを決して超えられないとも感じているのですが、そのあたりの言語化はそのうち試みるかも知れません。

とはいえ、OSSやTwitter、ブログ等のアウトプットをレバレッジにする自分のスタイルは変えるつもりはないし、変えられないとも思っています。それを所属企業の広報的にも活かしていくのが僕の強みの一つだとも考えているので。

ただ、このブログを含め文章については日本語のアウトプットが大半なので、そこに閉じていないで英語を使うチャレンジは増やしたい。Launchableでそれを狙っていましたが残念ながらうまくいきませんでした。とはいえ、ここ数年、英語学習量、会話や読み書きの頻度を増やす中で英語は少しづつながら着実に成長している手応えは感じているし、面白味も感じています。これはまた、ソフトウェアエンジニアリングと同じで、ライフワーク的に続けていくものだと思うようになりました。

ということで、キャリアの惑いは尽きないものですが、自分も含め、幸い世のソフトウェアエンジニアの仲間たちが変化に富んだ多様な生き方を示してくれています。一緒に考えながら、基本的には愉快に、時には悩みながら面白い人生を歩んでいきたいと思っています。

直近2社は短期間の所属になってしまったので、次は長く勤めたい。僕の志向として短期的に発揮できる技術だけではなく、自分の能力を長期的な事業貢献に繋げたいし、そこでバリューを発揮できるとも考えています。会社としてもそういう動きを僕に求めるでしょうし、次はそういう手応えを感じられる充実した働き方を長く継続できるようにしたい。

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2022-12-31T14:44:31+0900

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